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50過ぎての映画「ベニスに死す」鑑賞ぁ組少年のその後

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    JUGEMテーマ:洋画

     

    聖と俗を兼ね備えた、アンドロギュヌスのような美少年タジオを演じたビョルン・アンドレセン。

     

    ヴィスコンティ映画の中の彼とは違い、私がTVで見た実際の彼は、大人しくて人の良い、素朴な若者という印象でした。映画撮影時の彼は15才、来日した時は17才で、すでに少年期の美しさは、感じられなくなっていました

    タジオ役に決定した後には、ビョルンにはヴィスコンティがつきっきりで演技指導をしたと、来日時の雑誌記事に載っていたようです。

    もっともそれは、心理描写の演技指導ではなく、もっぱら仕草を優美に見せる為の指導で、タバコの持ち方まで直された(北欧では、15才から喫煙出来るようです)位に徹底していたようですね。

     

    1955年生まれの彼は、現在64才。去年来日したようで、「ビョルン・アンドレセン」でネット検索すると、白髪とあご髭を長く伸ばした彼の写真が載せられた、関係者のブログが出て来ます。

     

    その演技指導の一環として、ビョルンがヴィスコンティとスタッフにゲイクラブに連れて行かれたことがあるそうです。

    そこでハイエナのように、おいしそうな肉を食らいたいと、ねっとりした目で見つめる男達の視線に恐怖を覚えたとビョルンは回想しています。

    そして、その時ヴィスコンティは彼に言いました。

     

    「男たちの目つきを忘れないように。キミがその目をアッシェンバッハにするんだよ」

    と。

     

     


    ルキノ・ビスコンティ/タッジオを求めて [VHS]
     

     

     

     

    この体験は、ビョルンにとって結構なトラウマになったようですが、彼は生来真面目で仕事熱心なタイプなのでしょう。

    思わせぶりな目つきでアシェンバッハを見つめ、にっこり微笑みかけて破滅に誘う、堕天使のような美少年を見事に演じています。

     

    子供達と駆けずり回って遊んでいるだけの、何も考えていない少年でいながら、一方では老芸術家を破滅に誘い込む魔性の美少年でもある、という、ヴィスコンティのタジオを完璧に演じてしまったが故に、彼には更に大きなトラウマになった出来事が、次々に起きたようです。

    一言で言えば、周囲が彼を、美貌しか取り柄のない、所謂白痴美の少年と思い込むようになったんですね。

    そうなると、容色を売るしか能がない少年、と勘違いして、近寄ってくる映画関係者もいたでしょう。赤ん坊の頃に父が家を出て行き、幼少時には母が自殺して、祖母に育てられた孤児だというプロフィールからも、家が貧しく、金の為なら何でもするだろうと、誤解されても不思議ではないでしょう。そんな噂も立てられたようです。

    実際の彼は、音楽学校でピアノとギターを学ぶ学生だったのですが。

     

    40過ぎた中年になっても、ビョルンは「ベニスに死す」について、

     

    「もうあの映画とは関係ないし、今後も一切関わりたくない。」

     

    と語り、ストックホルムの音楽学校でピアノを教えていた時、学年末に生徒たちから花を贈られ

     

    「指導は厳しかったけれど、あなたは一番良い先生だった」

     

    と感謝された時には、感動のあまり涙をこぼし、

     

    「あの子たちは、あの映画のことなど何も知らない。ただ純粋に僕自身を評価してくれたんだ。」

     

    と、後に語ったそうです。

     

    近年のビョルンは、音楽家だけではなく、俳優としても活躍しているようですね。

     



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