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50過ぎての映画「ベニスに死す」鑑賞◆組少年タジオは夢か現か幻か

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    JUGEMテーマ:洋画

     

    さて、映画「ベニスに死す」を映画館の前の方の席で観るうちに私は、

     

    「この映画は、アシェンバッハがタジオに出会ってから以降は、実際に起きたことではなく、アシェンバッハの内面で起きたことを描いているな。」

     

    と思うようになりました。

     

    海の側にあるホテルの夕食の席で、タジオに出会ったアシェンバッハは、この美しい少年から目が離せなくなります。

     

    翌日、浜辺にテーブルと日除けを出させ、手紙に目を通したりしながら寛ぐアシェンバッハ。

    例のポーランド貴族の女達は、砂浜で大人しく過ごしていますが、タジオは、様々な国から家族と共に来ているであろう男の子達と、砂遊びやら水遊びに興じています。

     

    タジオを見つめるアシェンバッハ。

    そんなアシェンバッハに気付き、タジオは付かず離れずの距離で、彼を翻弄します。

     

     


    ヴィスコンティを求めて

     

    部屋に戻ろうとアシェンバッハがエレベーターに乗ると、少年達の一団が押し寄せて、乗り込んできます。その中には、白い日除け帽を被ったタジオの姿が。アシェンバッハは、タジオを見つめずにはいられなくなります。

    アシェンバッハをじろじろ眺め、嘲笑う少年達。

    タジオはひとりエレベーターを降り、意味ありげに微笑いながら後ずさりしてアシェンバッハを見つめる。

    ひときわ高くなる少年達の嘲笑。

     

    アシェンバッハは憮然としながらも自分を恥じ、ドイツに一刻も早く帰ろうとしますが、ホテル側のミスで、荷物が別方面に送られてしまいます。

    駅で切符を買った直後にそれを知らされ、憤慨した様子で、荷物が手元に届くまでベニスから動かない、と切符の払い戻しを命じるアシェンバッハ。

    ホテルの従業員もそれに同意します。

    再びホテルに向かう船の中で、アシェンバッハは喜悦の表情を浮かべます。

    部屋に戻り、窓を開けると、浜辺には彼の部屋の方を見ることもなく、水着姿で1人歩き回るタジオが。

    満足そうに微笑いながら、アシェンバッハはタジオに手を振ります。

     

     


    ●ヴィンテージ●洋画映画チラシ【ベニスに死す 1971年公開初版版 】ルキノ・ヴィスコンティ監督 ビョルン・アンドレセンB5二つ折り13.5x18.0cm ●状態コレクター品 良品 (vinti 7)

     

    「この年頃の少年達に、これは有り得ないな。」

     

    と私は思ったわけです。

    この少年の集団は、年上でもせいぜい15才位でしょう。女の子と比べて、ずっと奥手な年頃なので、砂遊びに夢中になったり、砂浜で駆け回ってはしゃいだりと、やることは全く子供のそれです。

     

    そんな年頃の少年達が、髪を長く伸ばし綺麗な顔をした仲間を、見つめる老人がいたからと下卑た様子で嘲笑したり、自分を見つめる老紳士がいるからと、意味ありげな視線を投げかけ、付かず離れずの距離を取りながら翻弄してみせたり、というのは、普通あり得ないでしょう。

     

    また、映画の後半に、家庭教師や姉妹と一緒にベニスの街を散策するタジオを、アシェンバッハが、今だったらストーカー扱いされかねない様子で追いかけるシーンがあります。

    この貴族の子女の一行は、この時何故か表通りではなく、あちこちに白い消毒液がぶっかけられた不潔な、上質な身なりを見ると寄ってくる浮浪者がいたりする、何が起きるか分からないような路地裏を歩き回ります。

    これも、上流階級の子女としては、あり得ない行動でしょう。

     

    多分これは、アシェンバッハの想いを描写したもので、実際にはエレベーターの中での少年達は、仲間同士でふざけているところを見知らぬ紳士に見られて、照れて笑っていただけだし、タジオは、よく見かける同じホテルの宿泊客に、挨拶のつもりで微笑んだだけだし、ポーランド貴族達は、普通に表通りを歩いていただけだったのだろう。

    この時のタジオも、立ち止まってアシェンバッハを見るにしても、

     

    「おじさん、一体何の用なの?」

     

    とか言いたくなっただけだったのだろう、と私は思いました。

     

    …これは、この作品がよくTVで放映されていた頃の、当時10代20代だった私には、出てこない発想でしたね。

     

     

     


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